亮司を失った雪穂には本物の太陽などあるはずもなく、
たとえ一抹の光であっても既に抜け殻のようになった雪穂にとっては
眩しすぎてきっと目も開けられなかったのではないだろうか。
白夜行のテーマ・・・親の責任、大人の責任・・・いろいろと語られてきたが、
それがテーマであれば解釈が拡がりすぎるような気がしてならなかった。
間違いではないが、根本に流れるものは、もっと分かりやすく単純なものだと
今までの絡んだ糸を解くように最終話から感じ取りたいと思って見ていた。
私の解釈はこのドラマでよく描かれていた『手を繋ぐ』であり、
『抱きしめてあげる』ことではなかったのではないかと思う。
人間として基本的なごく当たり前のスキンシップではなかったのか。
最終話を見ていてそう感じずにはいられなかった。
子供が悪いことをすれば親は叱り、何故悪いことだったのかを子に諭す。
そして、子供がそのことを素直に悟り『ごめんなさい』と言えば
思いっきり我が子を抱きしめ、頭をなでてやるものだ。
『ごめんなさい』と謝る子供をただ叱るだけでは子供は救われない。
逃げ道すら無くなる。
亮司と雪穂は叱られることはあっても
抱きしめてもらうことも無く育ってきたのではないだろうか。
人の身体は温かいものだ。親から抱きしめてもらう温もりすら知らずに
育ってきたのなら余りにも二人は悲しい。
亮司は本当に優しい男の子であった。
雪穂に一目惚れしドキドキする仕草は本当に愛らしかった。
手を繋ぎたい・・・好きな人には誰もが素直に生じる感情である。
『亮くん 手 汗すごいよ』と雪穂に言われ慌てる様子も可愛いく思えたものだ。
亮司と雪穂のこんなやり取りは誰もが経験してきたことだろう。
印象的だったのは雪穂の手の繋ぎ方である。
単に手を握るのではなく、雪穂はいつも指と指をしっかり絡ませるように
亮司と手を繋いでいたように思う。
きっと雪穂は亮司よりも温もりを知らずに育ったのだろう。
当然である。雪穂の母親は自分の娘を売り、手を繋いだのではなく、
ただ手を引っ張って現場に連れて行っていたのである。
雪穂の少女時代は惨い。娘がいる自分にとっては本当に辛い。
雪穂にとっては唯一手をしっかりと繋ぐことができる相手が亮司だったのだ。
ただ、少年少女時代にそういった不幸な背景があったとしても
二人が犯してきた罪は正当化できるものではなく断じて許されるべきものではない。
二人を追いかけてきた笹垣だけはそんな二人の背景を知ることになるが、
何故もっと早くわかってやれなかったと悔やむのである。
早く捕まえて・・・ということではない。
笹垣はもう既に亮司にとっては父親も同然であった。
今までに犯した罪を語り、子供がいることを伝え、最後に詫びるのである。
『亮司』と名を呼び、両手を広げて、きっと抱きしめてやりたかったのだろう。
亮司もここまで自分のことを思ってくれる人がいたことを知り、
きっと素直に抱きしめてもらいたかったはずだと思う。
亮司は笹垣の腕の中で人の身体の温もりを感じることは出来たのだろうか。
歩道橋から飛び降り、薄れていく意識の中で雪穂の姿を求め、
『行って』と指をさし、最後まで雪穂の太陽になろうとした。
亮司が最後に見た空に何が見えたのだろう・・・
冷たい雪が降る夜では決して太陽は見えなかっただろうに。
亮司を失った雪穂には本物の太陽などあるはずもなく、
たとえ一抹の光であっても既に抜け殻のようになった雪穂にとっては
眩しすぎてきっと目も開けられなかったと思う。
最後に亮司と典子の子供と思われる登場シーンがあったが、
雪穂が手で招く前に男の子の足は止まっていた。
また、雪穂が手を差し出す前に男の子が手を差し伸べていた。
やはり亮司の遺伝子がそうさせたということなのだろうか。
最後まで嘘に嘘を重ね通した雪穂に明るい未来などあるはずがない。
明るい太陽の下で雪穂は男の子と手を繋いだが余りにも代償が大きすぎた。
彼は亮司の遺伝子かもしれないが、太陽であるはずの亮司ではない。
・・・・・
白夜行 終ってしまいました。
制作が発表されてからずっと楽しみにしていたドラマでした。
最初から重いテーマだということはわかっていましたが、
普通のドラマに慣れている日常ではこのドラマはあらゆる意味で問題作であったと思う。
分かりにくいということかもしれません。
『何を訴えたいのか』そんなことを考えながら見る人は一体どれだけいただろう。
きっと・・・圧倒的に少ないと思う。
こういった手法がはたして是か非か・・・それは見た人が決めればいいことであって、
少なくとも自分は敢えて評価したいと思う。
子供に愛情を注いでやることはとても大切なことである。
手を繋ぐこと・・・引っ張るのではなく子供の歩幅に合わせてゆっくり歩いてやること。
思い切り抱きしめてやること。人の身体の温もりを感じさせてあげること。
そして、子供と向き合って話をすること。どれが欠けてもいけないのだ。
子供をごく普通に愛すること・・・スキンシップを大切にすること。
きっと制作側はそんなことを訴えたかったのだと思う。
山田孝之、綾瀬はるか、他キャスト・・・みんな素晴らしい演技を見せていた。
特に八千草薫、武田鉄也を始め、脇役の人達はみな存在感があった。
綾瀬はるかファンの自分としては彼女の女優としての成長振りを素直に喜びたい。
イメージダウンにもなりかねない雪穂という難しい役を
よくここまで演じてくれたと思う。
多くの先輩俳優の方達と共演し得た財産をこれからも大切にして活かしてほしい。
こんにちは。
>『何を訴えたいのか』そんなことを考えながら見る人は一体どれだけ いただろう。
きっと・・・圧倒的に少ないと思う。
私はずっと考えて見てたし、今も考えてしまいます。
明確な答えは出ないけど、主題歌の影を聞くたびに涙が
出そうになります。
2人が可哀想っていう簡単なものじゃなくて。。。
脇役の存在がドラマを引き立ててましたよね。
私にとっては心に残る名作となりました。
綾瀬はるかちゃんは、これから注目の女優さんですね。
投稿情報: アンナ | 2006年3 月26日 (日) 11:41
アンナさん こんにちは。
TBどうもありがとうございます。
自分もアンナさんと同じでずっと考えながら見ていました。
だからこそ、このドラマの表面的な部分しかみないで否定的な捉え方をする方が多いのがすごく残念でした。
私にとってもこのドラマは名作であったと言い切れます。
投稿情報: Nob | 2006年3 月26日 (日) 11:57
Nobさん、こんにちは~。ようやく最終話レポ出ましたね。お疲れ様です。
「白夜行」は私の好きなはるかさんが出るという「純粋な動機」(笑)で見始めました。重い内容や衝撃的なシーンなどでいろいろと揶揄されたりもしましたね。しかしわたしは回を重ねるごとにはまりこんでしまいました。
>『何を訴えたいのか』・・確かにそれにこだわって見るひともいるでしょう。わたしはあまり考えませんでしたが、今は自分なりに答えがみつかりました。
嘘と悪事を繰り返す2人の成長する物語でいいのではないかと・・・。
善悪や解釈の違いなどいろいろありますが、それは視聴者にそのまま委ねる(悪く言えばほったらかす)製作手法だったのだろうと・・・。
Nobさんの言われる「手をつなぐ」ということも全編とおして重要視されてますね。なるほど~!
投稿情報: シロクマ | 2006年3 月26日 (日) 12:49
シロクマさん こんにちは~今日はいいお天気ですね~
ドラマって本当はあれこれ考えずに見れるものですよね。
TVをつけていれば番組なんてタレ流し状態です。
このドラマも本当はそうだったのだと思います。
シロクマさんの言うように・・・
>それは視聴者にそのまま委ねる(悪く言えばほったらかす)
>製作手法だったのだろうと・・・。
これがドラマの本来の姿だと思います。
『究極の純愛』なんて目にするものだから、かえって混乱したのかもしれません。
でも深読みしたおかげでより楽しめたと自分は得したかなって思います(^^ゞ
投稿情報: Nob | 2006年3 月26日 (日) 13:07
とうとう「白夜行」も終わってしまいましたね。(T_T)
かなり難しいテーマのドラマでした。わたしは、ずっと考えながら見ていたのですが、最終話を見終わった今もはっきりとした答えは見出せておりません。しかし、自分なりですが、こうではないのか、これが言いたかったのではないのか、と私なりの答えはおぼろげながら見つけたような気がします。(^-^)
また「親子の情愛」「愛する人への愛」など、いろいろな愛の形があることを教えてもらったような思いです。これらがすべて「純愛」と呼べるのかも知れませんね。
投稿情報: はーちゃん | 2006年3 月26日 (日) 14:01
Nobさん、こんにちは。
UP、時間が掛かりましたね。最終話の結論を出すのに時間が掛かりましたか?
<眩しすぎてきっと目も開けられなかったのではないだろうか。>
そうですね~。そんな感じがしますね・・・。
<私の解釈はこのドラマでよく描かれていた『手を繋ぐ』であり、
『抱きしめてあげる』ことではなかったのではないかと思う。>
私も色々と深読みし過ぎちゃってたなと思いました。シンプルに言うと根本的にはそうゆう事ですよね。
さすがに3人のお子さんを育て上げた方のお言葉です!
ちょっと失礼かも知れませんが、お子さんは最終話まで見ましたか?お子さんはどんな風に受け止められたのでしょうか?沈黙になったと聞いて、あれからずっと心配だったのですが・・・。
それと、原作を読んでいた方にとっては、このドラマはどんなものだったのでしょう。
私はドラマを最初に見たので、これが白夜行だと思ってしまっているのですが、
根本的な部分は原作と同じですか?
投稿情報: メロディ | 2006年3 月26日 (日) 14:02
はーちゃんらしい答えですよね。
>「親子の情愛」「愛する人への愛」など、
>いろいろな愛の形があることを教えてもらったような思いです。
>これらがすべて「純愛」と呼べるのかも知れませんね。
純愛という解釈もそうだったのかもしれません。
最初のうちはその純愛というパズルに無理やりピースを合わせようとしていたから
余計に混乱してドラマ自体が見えにくくなっていたような気もします。
投稿情報: Nob | 2006年3 月26日 (日) 14:43
レビュー待っていましたょ。(^_^)v
最終回だから、今回で結論づけなくてはいけないんだろうけれど、
このドラマのテーマは、簡単にはできないですね。
何で、二人の人生のボタンの掛け違いが起こったのか、
二人に置かれた家庭環境、貧困、愛情の薄さ・・・
二人が求めていたものは、ただ普通に手を繋いでいきたかったと言うことだけ・・・
しかし、それを引き裂いてしまった、親、環境。
それだけに二人の人生が哀れでしかたありません。
社会の責任、親としての責任忘れちゃいけないですね。
笹垣が最後に善人になっちゃいましたね。
それならばもっと早くから、そうすりゃあ二人はそこまで追いつめられず、
罪を重ねることもなかっただろうにと悔いる気持ちもあります。
推理ドラマ的には、あそこまで詳細に罪の内容がわかるまでの過程をもう少し細かくやって欲しかったですね。
まあ、推理ドラマではないから、仕方ないと考えることもあるけれど、
ちょっとはしょりすぎじゃない?と思いました。(笑)
ところでお墓に入れた財布はどうなったんでしょうか?
やはりあれはセカチューつながりか・・・。
はるかさんはこのドラマでこれまでにない難しい役をこなして、
女優としても成長したし、大人っぽくなって、
おじさんにはまぶしすぎるくらいになりましたね。(///∇//)テレテレ☆\(-.-メ)バキッ
雪穂ではないけど、しばらく抜け殻状態になりそうです。(笑)
投稿情報: せとくぼ | 2006年3 月26日 (日) 14:49
メロディさん こんにちは。
アップに時間がかかったのは・・・いろいろネタがあって、そちらを先にアップしたりして、
レビューをまとめる時間が中々作れませんでした(^^ゞ
でも最終話自体は一番見やすかったというか、わかりやすかったような気がします。
3人の娘にそれぞれ部屋を与えるほど我が家は広くなくて、一番下の娘(中2)だけは今でも一緒に川の字になって寝ています。
布団に入った時に私はいつも娘の手を雪穂と同じように握るんですが、
娘はいつも無意識にしっかりと力強く握り返してきます。
子供っていうのはそういうものなんだと思います。
さすがに出かける時は手など繋いでくれませんが(^^ゞ
ドラマの内容について家族で語り合うことはありませんでしたが、
一番下の娘は一番熱心にこのドラマを見ていました。
機会があったら「どうだった?」って聞いてみようと思っています(^^ゞ
最終話で一番泣いていたのは妻でしたね。
きっと彼女なりに感じるものがあったのだと思います。
投稿情報: Nob | 2006年3 月26日 (日) 15:07
せとくぼさん 昨日はホント申し訳ないm(_ _)m
完璧に落ちてしまいました(^^;)
二人はただ手を繋ぎたかっただけでしょう。
本当は明るい太陽なんて望んでいなかったような気がします。
たとえ亮司が生きていたとしても、笹垣や篠塚がいなくなっていたとしても、
二人の人生には明るい太陽の下など有り得なかったでしょうね。
手を繋いでお互いの温もりを感じて・・・ただそれだけを望んでいたんじゃないかな。
お墓に入れた財布・・・もうすっかり忘れていました(^^;) ほんとどうなったんでしょう。
はるかちゃん 本当に上手くなったと思います。
何話かのレビューで「目がきつい」ようなことを自分は書きましたが、
自然にそのような演技ができるようになっていましたね。
自分は最後に取調べを受けている時の雪穂が綺麗だなって感じました。
このドラマで得た経験はすごく大きいと思いますよ。本当に。
これからの女優としての仕事に絶対活かされると思います!
頑張れ はるかちゃん!!
投稿情報: Nob | 2006年3 月26日 (日) 15:23
はじめましてm(_ _)m
TBありがとうございました♪
本来、気楽にみれる番組が好きなので、私にとっては
この【白夜行】のテイストに毎回気持ちが暗く重くなりました^^;
今振り返って特に印象深いのは初回(だと思うのですが)での笹垣さんの「悪い事したらおてんとさんの下歩けんよーなる!」のセリフです。
深いテーマはわかりませんが、この一語に尽きるのではないかと。
この事をしっかり教えてくれる大人が亮司と雪穂の周囲には
いなかったのではないかと。
笹垣に父の、谷口司書に母の愛情を感じつつも、素直になれなかった二人が切ないです。
投稿情報: まこ | 2006年3 月26日 (日) 15:25
まこさん 初めまして!
こちらこそ TBありがとうございます!
>笹垣さんの「悪い事したらおてんとさんの下歩けんよーなる!」のセリフです。
これも何度となくリピートされていたシーンでしたね。
このセリフも大きな意味を持っていたと思います。
「嘘をついたらだめ」そんな当たり前のことを当たり前に教えてもらえなかったことから
二人の人生は脇道からどんどんそれていったのでしょう。
投稿情報: Nob | 2006年3 月26日 (日) 15:45
とうとう終わっちゃいましたね。自分に中でまだ答えは見つかってませんがとにかく凄い作品でした。
二人が最後までいわゆる法的な意味で償いをしなかったことは評価したいです。
やっぱり悪いことはしちゃいけない、というような分かりやすい道徳的なドラマにだけはしてほしくなかった。
ここは賛否両論、おそらく否の方が多いかもしれませんが、何故そのような道を選んだかということですね。むしろ自首した方が楽だったかも知れない。でもしなかった。何故かはぼくには分かりません(笑)
今まで数々の予想を外してきましたが一つ当たってたことがあります。2話以降、本編にエンドロールを被せるという手法をとって最終話で1話のエンディングがもう一度来る、ということを某ブログにコメントしました。唯一当たりました(笑)
最後に、このドラマが素晴らしいものになったのも1話でのチビ雪穂とチビ亮司の熱演のおかげです。すべてそこにリンクしてる訳ですから。
福田麻由子ちゃん、泉澤裕希くんに心から拍手を送りたいです。
どうもありがとう。
投稿情報: kid A | 2006年3 月26日 (日) 17:24
最終話 期待してたどんでん返しがなかったのはちと残念。
結局泣けなかったなぁ・・・。(´・ω・`)
一番良かったのはチビ雪穂です。
伝えたいことですか、
元々ドラマに必ずあるかと言えばそれも疑問符ですから考えない人が多いのもある意味納得・・・。
変な考え方かも知れないけど、視聴者はお客様だという考え方をすれば
ストーリーを追うだけしかしない人も結構な数いることを考えてドラマも作られないといけないのかなとも思う。。。
(いくら放送前に告知してもそれ一切観てない人だっていることも・・・。)
う~ん 私は「純愛」のふれこみは・・・・ と(結果論として)思う。。。
投稿情報: マリオが乗る恐竜 | 2006年3 月26日 (日) 17:59
Nobさんの文章、とてもわかりやすくて、納得しました。
なんて私のブログには中身がないのか・・・恥ずかしくなってしまいます。
今まで見たドラマで私は一番好きでした。
時間を作って、もう一度じっくり見直したいと思います。
投稿情報: 豚ちゃん | 2006年3 月26日 (日) 18:50
Nob さん、こんばんは!!
> 根本に流れるものは、もっと分かりやすく単純なものだと~
ガ~ンという感じです。
Nob さんのレビューを拝見して、「頭でっかち」に解釈しようとして、自分のクビを絞めていたのかもしれない…と感じました。
私は最終回を観てようやく「よい作品だった」と結論づけることができましたが、それにしても悩ましい三ヶ月間でした。
石丸Pはいろいろな解釈や受け止め方に「挑戦」していたんだなぁ、と思いました。
ただ、あれだけ観る側を悩ませたのですから、最終回を迎えた今、「実は、制作者としてはこれこれしかじかを訴えたかった」という「本音」を聞いてみたいという気持ちがとても強いです。
私は、Nob さんをはじめ、姫のファンの方々の様々な受け止め方を知ることができたからこそ、どうにかこのドラマを最終回まで見届けられたような気がしています。
一人で観、解釈していたら、きっと途中で投げ出してしまっていたかもしれません。
今は、みなさんにお礼を言いたい気持ちです。どうもありがとうございました。
投稿情報: FUN*P2号 | 2006年3 月26日 (日) 19:47
原作「白夜行」には、推理小説好きの私は嵌りに嵌りました
亮司と雪穂の二人の描写が第三者からの目でしか書かれておらず、その量も圧倒的に少ないからです
事件もそれとなく二人が関与しているような書き方しかされず、その分、読み手に自由に創造させるという手法に、新鮮さを感じ新刊の時から何度となく読み返し、文庫本になってからも何度も読み返すということを繰り返したくらい、好きな作品のひとつになりました
そこへ、ドラマ化です。しかも「世界の中心で、~」のふたりです。
作品の底流に流れているもの、メインテーマとされるものが「貧困」と「差別」と「人間の業」と理解しました
ところがドラマでは、これらは殆どというか全くというほど描かれていません。「人間の業」だけを強く表現しているようです
第1話での、11歳の雪穂と亮司の描き方にしても、余りにも浅い!という感じでした。ここを深く描かないと、その後の14年間も、「なんだかなあ~」という感じになる
この作品「推理小説」で、いわゆる「警察小説」です
そこをきちんと捕らえないと、余りに体裁がチンケになるのです
ドラマの、容疑者死亡で、捜査本部解散とか証拠として押収した鋏を雪穂に返すとか、11歳の時の最初の事件が笹垣ノートでは「交換殺人」とか、15年の時効とか、また笹垣が警察官時代の情報を元に、それをばらし、かぎまわる、これ全部公務員の守秘義務違反、と上げたらきりがないが、こういうところをきちんと描かないと、ただの「殺人事件ドラマ」になる
ずばり、第1話で捜査していれば、2話以降の展開になるほうが難しい。金の動きがあり、凶器としての鋏があり、ハーモニーの空き箱がある
これで雪穂の母が逮捕されない、というほうがおかしいし、周辺の捜査がなされないというのも不思議だ。
笹垣の持った疑問を誰も共有しないという、魔化不思議さ。
笹垣は能弁に亮司のことを庇い立てるようにきちんと責任を取れといい、雪穂に対してもそのように説き伏せる
亮司のキャラと雪穂のキャラの違いを見抜いたかのような、二人に対する対応の違い
最終話での、話の展開の早さ、特にR&Y大阪店の出展に対するあわただしい雪穂の動き、涼子の篠塚に対するおしゃべり、笹垣に対する亮司の周辺にいた人間のおしゃべり、普通ただの「探偵」にあれほど喋るものでしょうか。警察官ではないのですよ
全体を通して、ドラマの亮司では藤村都子を襲うことも、礼子の医療器具を操作することもできないでしょう、ましてやあんな簡単に松浦を殺害することなど
雪穂にしても同じで、あれほど感情がぶれたり、亮司に思いをはせるならあんな要求はしないでしょう
「売春」という言葉が雪穂の口から出たときは、耳を疑った
そういう意識の元に高宮との結婚に望んだのではないと思うから
R&Yにしても、全て亮司の犯罪によって得た金を元にしたような描き方
罪には必ず罰が下る、のでしょうか?
では、最初のあの二人の親の行為は?そもそも雪穂と亮司が「白夜」の道に入り込まざるを得なくなった原因、それは罪として問えないのだろうか?
二人の親が自分の子にした行為は、その罪万死に値する、と思うのは私だけか?
お互いの親を殺害したことは「交換殺人」か?
生きていくための「正当防衛」ではないのか!
投稿情報: セカチュウ症候群中年 | 2006年3 月26日 (日) 21:08
nobさんこんばんは。
とうとう最終回終わりましたね。
nobさんの感想読ませていただきました。
素晴らしい解釈です!!!
私も子供がいるのですごく気持ちが分かりました。
私は「解釈できなかった」んです。(おバカな主婦です。。。)
正直山田くんが出ていなかったら見ていなかったと思います。
ただ、本当に素晴らしいキャスト、そして原作も素晴らしいもので、山田くんとはるかちゃん、若い2人は頑張ったと思います。
最初は正直はるかちゃん心配だったけど(すみません)回を追うごとに雪穂になっていきました。
あのはるかちゃんが、最後は「悪女」になっていました。
でも内に秘めたものはそうでないんですけどね。その表と裏の表情がとても良かったと思います。
これからも2人には頑張ってもらいたいですね。
投稿情報: WAKA | 2006年3 月27日 (月) 01:16
kid Aさん 終わっちゃいましたよ~
もっと見たかったということじゃないけど、やっぱり終わって残念です。
ちょっと最終話展開が早すぎた気しませんでしたか?
亮司が死んだ後の雪穂がどういう人生を歩んでいったのか、もう少し描いて欲しかったなあって個人的には思っています(^^ゞ
>今まで数々の予想を外してきましたが一つ当たってたことがあります。
これ確か見かけましたよ~エンディングずばり当たっていましたね。
不思議なことに1話で見たときは「何これ!」って思いましたが、
最終話では何故か自然に見れました(笑)これってどういうことなんでしょうね?
スタッフの術中にはまったってことかな(^^;)
私もチビ亮司とチビ雪穂には絶賛の拍手を贈りたいですね!
本当に二人とも素晴らしかったと思います!!
投稿情報: Nob | 2006年3 月27日 (月) 02:29
マリオ殿が期待していたどんでん返しって何?
よかったら教えて欲しいな~
>変な考え方かも知れないけど、視聴者はお客様だという考え方をすれば・・・
これはよくわかる。普通はあれこれ考えて見ないよね。単に面白いか位かな。
番宣にしても「こういうドラマなんですよ」と伝えたところで、
番宣まで見る人は我々キャストのファンぐらいだろうから、
やはり一般的にはこういうドラマを受け入れてもらうのは正直難しいと思う。
投稿情報: Nob | 2006年3 月27日 (月) 02:45
豚ちゃん 何言っているんですか!そんなことないよ!
見たまま感じたままの豚ちゃんの言葉できちんと綴られています。
自分は豚ちゃんのブログのファンです(^o^)v
>今まで見たドラマで私は一番好きでした。
一緒で~す!自分も最終話を見て改めてこのドラマを好きになりました(^^ゞ
いろいろ批判も多かったけど、いいドラマだったと思います。
何よりも嬉しいのは、このドラマによって成長したはるかちゃんです!
もうこれだけで十分だね(^o^)v
きっと女優としての引き出しもいっぱいになったことでしょう!
このドラマで得た経験をどんどんこれからも発揮してほしいです(笑)
投稿情報: Nob | 2006年3 月27日 (月) 02:55
FUN*P2号さん こんばんは!
メールでお伝えした通りで、なるべく分かりやすいように心掛けました(^^ゞ
ヒントはラスト近くで谷口さんが出した『切り絵』でした。
笹垣とその切り絵を見つめながら・・・
『本当は・・・これだけだったのかもしれませんね』というセリフです。
これを聞いた時 絡んでいた糸がほどけていきました。
きっと谷口さんもわかっていたのでしょうね。
子供時代の二人に対して、図書館で接する谷口さんは距離を置くこともなく、
ごく普通に接していたように思います。
きっと「この子達は何か違う」と気付いていたような、そんな気がするんですよね。
雪穂は単に図書館が好きということではなく、ごく普通に接してくれる谷口さんが大好きだったのではないでしょうか。
亮司も雪穂と知り合い、図書館で同じ時間を過ごすようになり、二人にとっては図書館が温かい家庭のように思えていたのでしょうね。
ふとそんなことを思い描きました。深読みしすぎでしょうか(^^;)
投稿情報: Nob | 2006年3 月27日 (月) 03:37
セカチュウ症候群中年さん 長文のコメントありがとうございます。
読み落とすことがないよう何度も読ませていただきました。
ただ、ごめんなさい。私は原作を二度読んだ上で、このドラマをみましたが、
セカチュウ症候群中年さんが感じておられる多くの矛盾については、
私自身も納得することは出来ましたが、原作で得ていた知識やイメージは途中から全部捨てて見ていました。
単純に脚本家の描いた白夜行を楽しもうと見方を切り換えました。
ですから、どうしても相反するレスになることがあると思いますがご了承下さい。
>罪には必ず罰が下る、のでしょうか?
>省略
>二人の親が自分の子にした行為は、その罪万死に値する、と思うのは私だけか?
>お互いの親を殺害したことは「交換殺人」か?
>生きていくための「正当防衛」ではないのか!
これらの引用部分は私も全部納得できます。
生きていくための「正当防衛」はまさにその通りだと思います。
ただ、これを正当防衛ともしするなら、ドラマとしての白夜行は描けないのではないでしょうか?私が的外れな解釈をしていれば申し訳ありません。
原作を愛していらっしゃるセカチュウ症候群中年さんにしてみれば、私のレスは大変物足りないものだと思いますが、もし、よければ私もお付き合いいたしますので、よかったらまたコメントを頂ければ幸いです。
そう言えば、以前放送が終わったら統括しようみたいなことを確かおっしゃっていましたよね?私の記憶違いであればごめんなさい。
投稿情報: Nob | 2006年3 月27日 (月) 04:09
WAKAさん こんばんは!
お褒めいただき恐縮です(^^ゞ ありがとうございます。
山田君とはるかちゃんがこのドラマを通して得たものを
これからの役者人生の中で活かせてもらえれば嬉しいですね。
私も山田君を応援しますので、どうかWAKAさんもはるかちゃんの応援をどうぞよろしくお願い致します(^o^)v
投稿情報: Nob | 2006年3 月27日 (月) 04:14
こんにちは♪
TBありがとうございました。
山田君、はるかちゃん共に原作のイメージからは遠かったのですが、ドラマを見ていくうちに二人とも魂を込めて演じているのがよく分かりました。
はるかちゃんは体当たり演技で一皮むけたかもしれませんね~。
高校生姿から大人の女までを演じるのはとても難しかったと思うけれど、よく頑張りました!
投稿情報: ミチ | 2006年3 月27日 (月) 17:30