のあさんからブログネタ無しの救済活動として新作のストーリーが届きました!
のあさん どうもありがとうございます(v^-^)Special Thanks♪
はーちゃんの音楽とのコラボ第2弾です!
今回のストーリーもGood Jobです!楽しめますよ~!
『 朔の恋 』
前カゴにクーラーボックスを入れ、竿を背負い自転車を漕ぎ出す。
「朔~、夕飯までに帰ってくるんだよ!」
背中からのおふくろの声に適当に返事をして、港に向かう。
「あれっ?」
港に着いて、堤防を歩いていると俺のいつものポイントに誰かが立って
いた。ワンピースを着たポニーテールの女の子。
近づいていってもこちらに気付く様子もなく、ずっと海を見ている。仕
方がないので少し離れた場所で釣り始める。
「ねぇ、釣れる?」
いきなりの声にびっくりした。夢中になりすぎて気が付かなかったが、
さっきの女の子が後ろに立っていた。
「わぁ~、すごい。いっぱいいる~。」
クーラーボックスを覗き、はしゃぐ彼女。初対面なのに物怖じもしない
彼女。笑うとたれ目になる可愛い子...。どこの子だろう...。
「ん?顔に何か付いてる?」「えっ?あ...、いや、別に...。」
「ねぇ、もし良かったら少し分けてもらっていいかな?」「えっ?
あ...、い、いいよ。」
「やった~。ありがとう。じゃ善は急げと言う事で。」「えっ?」
「私の家この近くなんだ。ねぇ、何で来たの?」「じ、自転車。」
「じゃ、乗せてってくれる?」「えっ?えっ?い、今から?え~?」
思い切りマイペースな彼女に圧倒される。でも、どうしてだろう。不思
議と悪い気がしない。
彼女を後ろに乗せ、漕ぎ出す。普段じいちゃんならよく乗せてはいる
が、女の子なんて乗せた事が無い。さりげなく肩におかれた手と彼女の
髪の匂いにどぎまぎしながら言われた通りに走る。
「あっ、ここでいい。私の家あそこなんだ。」
彼女の指差す方に見える赤い瓦の家。こっちの方にこんな子がいたんだ。
「魚、ありがとう。」
ビニール袋に入れた魚を持って走っていく彼女。しばし見送って、我家
に向けて自転車を漕ぎ出す。
「あっ!」「なんだい、大きな声を出して?」
「い、いや、何でもない...。」
夕飯時に気付いた。な、名前聞いてない...。がっくり肩を落とす。
「あしたから二年生なんだからシャンとしなよ!」「へ~い...。」
「ふぁ~、眠い...。」
退屈な始業式も終わり、教室に戻って席に着く。今日から二年生なんた
らかんたらと先生が話をしているが、眠いのは仕様がない。机に突っ伏
して寝る。
「おい、朔。起きろよ。」「なんだよ、坊主~。いい気持ちで寝てたの
に。」
「転校生だってよ。ちょっと可愛いじゃん。」「ふ~ん、転校生...」
寝惚け眼で前を見る。
「あっ~!」
「松本!何だ、大きな声をだして。寝ぼけてるのか?」
先生の声にクラスのみんながどっと笑う。前にいる転校生も俺を見て
笑っている。
彼女の後ろの黒板にチョークで書かれた白い文字。『廣瀬亜紀』それが
転校生、昨日の彼女の名前だった...。
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